唾液のチカラ

こんにちは、クリア総合歯科クリニックの入江です。
お口の中で唾液はとても重要な役割があります。唾液は単なる「口の中の水分」ではなく、本来は歯を守るための天然の薬、クリーナー、バリア、修復剤として働いています。「最近、口が乾く」「むし歯になりやすくなった」そんな方は、もしかすると唾液の働きが弱くなっているサインかもしれません。
目次
唾液の役割はこんなにある
唾液の働きは、大きく分けて次の5つの機能に分類できます。
自浄作用(クリーニング力)

唾液は絶えず口の中を洗い流し、食べかすや細菌を除去する働きをします。具体的には、飲食後に歯に残る糖分や汚れを洗い流し、細菌がネバネバして作るプラーク(歯垢)を減らします。これは口の中の天然シャワーのような役割です。唾液の量が少ない人は、口の中が常に汚れやすく、むし歯や歯周病のリスクが上がります。
緩衝作用(酸を中和する力)

むし歯は菌が糖分をエサにして作る「酸」によって歯が溶かされる病気です。しかし唾液にはその酸を中和する力があります。つまり、「歯が溶けるのを止める」=防御シールドです。
例えば、食事中や間食後に口の中が酸性になっても、十分な唾液がある人は酸が早く中和され、歯が溶け続ける時間が短くなります。
再石灰化作用(歯を修復する力)

実は歯は、酸で表面のミネラルが溶け出す「脱灰(だっかい)」と、唾液のミネラルが歯に戻る「再石灰化」を常に繰り返しています。唾液にはカルシウムやリン酸といったミネラルが含まれており、歯の表面に補給することで、初期のむし歯を修復します。これはまさに、歯科医院の治療でも再現できない自然修復システムです。
抗菌作用(細菌を抑える力)

唾液には抗菌物質や免疫成分が含まれています。唾液に含まれるリゾチーム、免疫グロブリンA(IgA)、ラクトフェリン、ディフェンシンなどは悪い菌の増殖を抑制し、良い菌をサポートします。口臭予防にも大きく影響しています。
潤滑作用(話す・食べる・飲み込むの補助)

唾液が十分にあると、食べ物をスムーズに飲み込める、舌や唇が滑らかに動き発音しやすいです。逆に唾液が不足すると食事がしづらくなり、誤嚥リスクが増えます。これが高齢者の肺炎の原因にもなります。
唾液はお口の中だけでなく全身の健康にも深く関わる存在なのです。
唾液が減るとどうなる
唾液が減少すると、その影響ははっきり体感できます。主な症状として、
・口が乾く
・口臭が強くなる
・舌がヒリヒリ痛い
・食べ物が飲み込みにくい
・むし歯が増える
・歯周病が進行する
・歯が黄色くなりやすい
などがあげられます。
唾液が減ると、むし歯菌や歯周病菌の活動が活発になり、食後に酸性状態が長く続くため、歯がどんどん溶けてしまうのです。
唾液が減る原因
唾液不足(ドライマウス)の原因は様々です。
・加齢
年をとると唾液腺の働きが弱くなります。これは自然なことですが、意識して対策することが大切です。
・薬の副作用
特に影響がある薬として血圧の薬、抗うつ薬、抗不安薬、アレルギー薬、睡眠薬などがあります。これらの薬にはお口が渇く副作用がよくあります。
・ストレス
緊張すると唾液が減るのは誰でも経験があると思います。ストレスは唾液の分泌を減らす大きな要因です。
・生活習慣
・水分不足
・噛む回数が少ない
・口呼吸
・タバコ
ニコチンは血管を収縮させ、唾液腺への血流を落とすため、唾液量が減ります。
・シェーグレン症候群などの病気
今日からできる唾液力アップのコツ

唾液は意識次第で増やすことができます。特別な薬もお金もいりません。
・一口30回噛む
・ガムを噛む(シュガーレス)
・水分をしっかり摂る
特に高齢者は自覚のない脱水になりやすく、唾液が減る原因になります。
・口呼吸をやめる
口で呼吸するとお口の中が乾燥します。鼻呼吸を意識しましょう。
・唾液腺マッサージ
耳下腺(耳の前)、顎下腺(あごの下)、舌下腺(舌の下付け根)などを指でやさしく円を描くようにマッサージすることで、分泌を促すことができます。
・食生活の見直し
砂糖が多い飲食は控える。間食回数を減らす。酸性飲料(炭酸・スポーツドリンクなど)の摂りすぎに要注意です。これらを意識して唾液の負担を増やさない食生活を送ることが大切です。
・唾液を守る生活習慣
睡眠をしっかりとる。適度な運動をする。ストレスをためない。
・禁煙・減煙
これらはすべて唾液力を高め、結果的にむし歯や歯周病を遠ざけます。
歯磨きだけでは歯を守れない

「歯磨きを頑張っているのにむし歯になってしまう」そんな患者さんがよくいらっしゃいます。それは、歯磨き=汚れの除去、唾液=歯の修復・保護という役割の違いがあるため、どちらが欠けても歯の健康は守れないためです。
歯磨きだけでは酸性状態の中和も、再石灰化もできません。唾液は歯磨きの延長線上にある重要な要素なのです。
まとめ

唾液は、歯を洗浄し、酸を中和し、細菌を抑え、食べる・話す・飲み込む機能を支援します。最近口が乾く、口臭が気になる、食べ物が飲み込みづらい、むし歯になりやすいなどの症状があれば、それはただの不調ではなく、唾液のサインかもしれません。歯科医院で早めにご相談されるのをおすすめします。
クリア総合歯科クリニック
熊本市南区御幸西2-3-65
096-334-8020





