フッ素で守られた歯のイメージ

こんにちは、クリア総合歯科クリニックの入江です。

フッ素は歯をむし歯から守る成分として聞いたことがある人が多いと思います。

フッ素は歯磨き粉の中などにフッ化ナトリウムという化合物の状態で入っています。

歯の表面にあるエナメル質という層がむし歯になっている初期むし歯の状態であればフッ素を定期的に塗ることで健康な歯に戻ることがあります。今回はフッ素について詳しくお話ししたいと思います。

フッ素の効果

フッ素の効果のイメージ

フッ素は、歯科医療においてとても重要なもので、むし歯予防の中心的な役割を果たしています。最近では、幅広い年齢層において、フッ素の効果を活用した予防歯科が進められています。

フッ素はもともと自然界に広く存在する元素で、土や水、動植物などに微量に含まれています。

フッ素は、以下の3つの主要なメカニズムによって、むし歯予防効果を発揮します。

再石灰化の促進

むし歯は、食事や飲み物によってお口の中が酸性に傾き、歯の表面のエナメル質からカルシウムやリン酸が溶け出す脱灰によって進行します。フッ素はこの脱灰を防ぐと同時に、溶け出したミネラルの再付着、すなわち再石灰化を促進することで、歯の修復を助けます。

フルオロアパタイトの形成

フッ素は歯のエナメル質と反応してフルオロアパタイトを作ります。この物質は酸に対して非常に強く、むし歯への抵抗性が高いです。この作用により、歯がむし歯菌の酸に侵されにくくなります。

細菌の代謝抑制

フッ素には、むし歯の原因菌であるミュータンス菌などの代謝を阻害する作用もあります。これにより、酸の産生が抑えられ、お口の中のpHが下がりにくくなり、むし歯の発生リスクが軽減されます。

フッ素の使用方法と種類

フッ素入りのケア用品

フッ素入り歯みがき粉

最も一般的な使用方法であり、多くの市販の歯みが           き粉にはフッ素が含まれています。通常、約1000~1500ppmの濃度が含まれており、毎日のブラッシングにより継続的にフッ素を供給することができます。                                                                                          

フッ素入り洗口液

洗口液にもフッ素が入っていることが多いです。洗口液によっては殺菌効果でむし歯予防をするタイプもあり、フッ素が入っていないこともあるので購入するときは目当ての成分が入っているか確認しましょう。

フッ素塗布

歯科医院では、市販の歯磨き粉より高濃度(9000ppm程度)のフッ化物を直接歯の表面に塗ります。お子さんやむし歯になりやすい人(お口の中に汚れがたくさんついている人や矯正中でむし歯になりやすくなっている人など)へのむし歯の予防措置として特に有効です。

フッ素中毒について

フッ素の注意点のイメージ

フッ素は適切に使用すれば極めて安全であり、長年にわたる研究でもその有効性と安全性が確認されています。ただし、過剰摂取には注意が必要です。特に小さいころから継続的に過剰にフッ素を摂取すると歯のフッ素症(斑状歯)などを引き起こすことがあるため、年齢に応じた使用量を守ることが重要です。歯磨き粉をたくさんつけすぎるとそれだけフッ素の量も多くなるので注意が必要です。

たとえば、0~2歳では米粒大(1~2mm)、3~5歳ではグリーンピース大(5mm)、6歳以上では歯ブラシ全体に1.5~2cm程度が目安です。

フッ素中毒とは、過剰なフッ素の摂取または吸収によって、体内に毒性作用が生じる状態を指します。中毒には大きく分けて急性中毒と慢性中毒の2種類があります。

*急性フッ素中毒

急性中毒は、短時間に大量のフッ素を摂取した場合に起こります。特に小さい子が誤ってフッ素洗口液や歯みがき剤を大量に飲み込んだ際に発症することがあります。主な症状として

消化器症状:悪心、嘔吐、腹痛、下痢
神経系:めまい、けいれん
呼吸器:喉の刺激感、呼吸困難(吸入時)
循環系:徐脈、不整脈、ショック状態

などがあります。急性中毒は発症が早く、摂取後30分〜数時間以内に症状が現れることが多いです。特にお子さんの場合は体重あたりの摂取量が相対的に高くなりやすく、重症化のリスクが高いです。

*慢性フッ素中毒

慢性中毒は、長期間にわたって低〜中濃度のフッ素を過剰に摂取し続けた場合に発症します。主な原因は飲料水中のフッ素濃度が高い地域(日本では水道水にフッ素は添加されていません)に長期間居住していること、フッ素を多く含む地下水を長期間飲む、職業的曝露(アルミニウム製造やリン酸肥料工場で働いている)などです。主な症状として

・歯のフッ素症(斑状歯)

発育期(0〜8歳頃)に過剰なフッ素を摂取すると、エナメル質の形成に障害が起き、歯が白濁または褐色に変色します。軽度であれば見た目の問題にとどまりますが、重度では歯の表面のエナメル質が欠けやすくなります。

・骨フッ素症

長期にわたるフッ素の蓄積により、骨が異常に硬くなり、可動性が低下します。進行すると関節痛、変形、運動障害などを引き起こします。骨折のリスクも上昇します。

まとめ

フッ素で虫歯予防をするイメージ

フッ素は、むし歯予防に有効です。日常的なセルフケアから、歯科医院での専門的ケアに至るまで、フッ素の多様な応用が可能です。

歯科医院では市販の歯磨き粉よりも高濃度のフッ素を塗ることができるので定期的に歯科医院を受診してむし歯予防をしましょう。

クリア総合歯科クリニック
熊本市南区御幸西2-3-65
TEL 096-334-8020

クリア総合歯科クリニック