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歯のコラム

おねしょ(夜尿症)と歯科の関係


おねしょした子ども

こんにちは、熊本市南区のクリア総合歯科クリニックの入江です。

おねしょ(夜尿症)は小児科や泌尿器科の病気というイメージがありますが、実は歯科とも意外な関係があります。近年では、口呼吸や歯並び、顎の発育、睡眠時の呼吸障害が夜尿症に影響を与える可能性が注目されています。

夜尿症とは、5歳以上になっても月に1回以上の夜間尿失禁が3か月以上続く状態を指します。成長とともに自然に改善することが多いものの、小学校高学年になっても続く場合には、何らかの背景因子が隠れていることがあります。

おねしょ(夜尿症)と自律神経の関係

交感神経と副交感神経のバランス

私たちの自律神経には、交感神経(活動・緊張モード)と副交感神経(休息・回復モード)があります。本来、睡眠中は副交感神経が優位になり、抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌が増えて夜間の尿量が減少します。

しかし、睡眠時無呼吸、慢性的な口呼吸、睡眠の断片化などがあると、睡眠中でも身体が呼吸が苦しいと認識し、交感神経が繰り返し活性化されます。

その結果、睡眠が浅くなる、膀胱がいっぱいになっても目が覚めにくい、抗利尿ホルモンの分泌リズムが乱れる、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)が増加して尿量が増えるなど複数の要因が重なり、夜尿症につながると考えられています。

歯科で問題となる口呼吸や狭い上顎、扁桃・アデノイドによる気道狭窄は、小児の睡眠時無呼吸症候群の原因になることがあります。睡眠中に何度も無呼吸や低呼吸が起こると、低酸素状態 → 覚醒反応 → 交感神経の活性化が繰り返されます。

実際、小児の睡眠時無呼吸症候群では夜間の交感神経活動が亢進していることが報告されており、治療後には夜尿症が改善する例も少なくありません。膀胱は自律神経によってコントロールされています。

睡眠障害による自律神経の乱れが、夜間尿量の増加、睡眠から覚醒しにくい状態、膀胱機能の未熟性と組み合わさることで、夜尿が起こりやすくなると考えられています。

口呼吸とCO₂

口呼吸で眠る様子

鼻呼吸には、吸気抵抗を適度に作る、呼吸数をゆっくり安定させる、横隔膜を使った深い呼吸を促す、一酸化窒素の取り込みを助けるといった役割があります。

一方、口呼吸では換気量が増えやすく、浅く速い呼吸(過換気傾向)になる人がいます。すると、体内からCO₂が過剰に排出され、動脈血や呼気終末CO₂が低下することがあります。

CO₂が低下すると、脳血管が収縮する、酸素が組織へ放出されにくくなる(ボーア効果)、呼吸中枢や化学受容体が刺激されるなどの変化が起こり、身体はストレス状態として反応しやすくなります。

その結果、心拍数増加、血圧上昇、アドレナリン分泌増加、交感神経活動亢進がみられることがあります。近年では、慢性的な過換気症候群や機能性呼吸障害において、自律神経のアンバランスとの関連が指摘されています。

そして、小児睡眠時無呼吸症候群では、無呼吸中にCO₂が上昇し、呼吸再開時に急速な換気が起こります。

つまり、CO₂上昇 → 覚醒反応 → 過換気 → CO₂低下というサイクルが一晩中繰り返されます。この反復する呼吸変動が交感神経を慢性的に刺激し、高血圧や夜尿症などの症状につながると考えられています。

歯並びや顎の発育も関係する

歯並びを見せる男の子

口呼吸をしている子どもでは、上顎が狭い、歯列がV字型、出っ歯(上顎前突)、開咬、舌の位置が低いなどの特徴がみられることがあります。上顎が狭いと鼻腔も狭くなり、鼻呼吸がしにくくなるため、さらに口呼吸が助長される悪循環が生じます。

歯科では、顎の成長を利用した矯正治療や口腔筋機能療法(MFT)によって、呼吸機能の改善を目指すことがあります。

そして、夜尿症のあるお子さんで、毎日いびきをかく、口を開けて寝る、呼吸が止まることがある、食べるのが遅い、落ち着きがないなどといった症状がある場合、扁桃腺やアデノイドが大きく、気道を狭くしている可能性があります。

耳鼻咽喉科で治療を行うことで、夜尿症が改善したという報告も少なくありません。

歯科医院でできること

歯科医院では夜尿症そのものを治療するわけではありませんが、口呼吸のチェック、歯並び・顎の発育評価、舌や口唇機能の確認、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング、必要に応じた耳鼻咽喉科・小児科への紹介などを行うことができます。

特に定期健診では、いびきをかくか、口を開けて寝ていないか、朝すっきり起きられるかなどを問診することで、睡眠障害の早期発見につながる場合があります。これらが複数当てはまる場合には、一度歯科や耳鼻咽喉科で相談してみる価値があります。

まとめ

笑顔の子どもたち

夜尿症 ←→ 睡眠障害 ←→ 交感神経亢進 ←→ 口呼吸・気道狭窄という相互関係があり、交感神経はその重要な橋渡し役の一つと考えられています。

したがって、夜尿症のお子さんに口呼吸やいびき、歯列不正が認められる場合は、歯科から睡眠の質や気道を評価することが、症状改善の一助になる可能性があります。

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